意見交換・質疑応答
◆人気アーティストの特番企画~ライブ番組放送
池田委員:
- ・カメラワーク、編集のテンポ感等、音楽チャンネルならではの安定したライブ映像だと感じた。また、日本のロック界に多大な影響を与えたhideを取り上げるなど、音楽チャンネルとしての立ち位置を明確にしようとする意志が伝わった。
木村委員:
- ・どのアーティストのライブにおいても、スケール感、臨場感を体感することができた。バックに背負っている映像も鮮明に見ることができたほか、引きの映像で照明演出も見ることができたので、会場に行けずともライブ感を体感することができた。
高野委員:
- ・超特急、hide、T.M.Revolutionと多彩なアーティストの映像で見応えがあった。特にhideのような、亡くなってしまったけれど偉大なアーティストの特集は定期的に見たい。音楽は時間軸を超えるからこそ今聴いても素晴らしく、発見があるし、新規ファンの開拓が見込めると思う。T.M. Revolutionはライブコンセプトも素晴らしく、彼の武器や特性を全面に活かした音楽以外でのパフォーマンスも見応えがあった。
田中委員:
- ・ライブ映像のクオリティは相変わらず高く、現場の臨場感をそのまま感じられるような映像作品になっていて、見ていて引き込まれた。特にhideのライブは本人がいない特殊なフォーマットにも関わらず、テレビで見ていてもちゃんと楽しめるようなコンテンツだった。
福島委員:
- ・独占生中継ライブは視聴者が最も望むコンテンツ。カメラワークも全体像、そして個々のメンバーの魅力が伝わる編集となっており見やすさを感じた。ストリーミング生配信との差別化として、MUSIC ON! TV視点での独自のライブドキュメンタリー作品にも期待をしたい。
宮島委員:
- ・3アーティストとも全く違ったタイプのライブで、MUSIC ON! TVの持つ幅の広さやライブを見せることへの自信を感じる。超特急のライブ感溢れるカメラワークなどがとても面白く、「hide Memorial Day」の生演奏と映像との融合を現地かのような臨場感で見られるのも非常に贅沢で、生中継できるという強みが生き生きとしているように感じ、素晴らしかった。
森委員:
- ・それぞれのアーティストの方向性やステージングに沿って、番組としてもアプローチを繊細に変えているのがよくわかった。超特急の独占生中継はストレートに、会場と視聴者との空気の一体感を意識したもの。hideのトリビュートライブは映像と演奏の融合がポイントで、そのコンセプトを立体的に伝えるものになっていると思う。T.M.Revolutionはこれだけのパフォーマンスの強度と、緻密に設計されたステージの完成度を受け、番組自体が「作品」として仕上げていることに好感を持てた。総じてどれも気持ちよく楽しめ、ストレスがなかった。
◆話題のアーティストに迫った特別番組の放送
池田委員:
- ・旬のボーイズグループをいち早く特集し、時代の先端を行く切り口を充分にアピールできていると感じる。視聴者の見たいものをちゃんと汲み取っている視点があると思う。課題としてはやはり他番組との差別化、特徴付けになると思う。アーティストの内面にさらに踏み込み込もうとする制作スタッフの意識や環境づくりを期待している。
木村委員:
- ・ファンにはもちろんのこと、ゲストを迎えた賑やかなトークも、普段発信しているSNS映像制作の裏側密着的企画など、大変楽しい企画となっていたので初めて見る人にも楽しめる作品だと感じた。アーティストの素顔を垣間見ることができる内容でとてもよかった。
高野委員:
- ・4アーティストともに市場としては競合が多く、名前も知らない、もしくは名前だけ知っている状態が新人、若手系だと多いと類推するが、やはりファン化の鍵はメンバー認識だと思う。どんなキャラでどんなパーソナリティなのかを理解する上ではアーティストのマーケティング上、非常に意義があることだと思う。
田中委員:
- ・どのアーティストの番組もコンテンツとしての魅力が高く、ファンは必見の番組になっていると感じた。特に出自の似ているDXTEENとOWVのキャラの違いなどが番組作りから鮮明で、アーティストのファン以外も楽しめるコンテンツになっていた。
福島委員:
- ・旬のアーティストの魅力を掘り下げ、インタビューや対談など、知りたい情報を工夫した企画で届けられていて好感が持てた。常にシーンの最前線を追い続けることはメディアのあり方として大切だと思う。
宮島委員:
- ・群雄割拠の様相を呈してきたボーイズグループをそれぞれパーソナルから楽曲までしっかり楽しく見せてくれる番組はとてもありがたい。特別番組はトップクラスのグループだけに特化することなく、しかもそれぞれの良さを理解した上でトークする場所や内容、企画などが作られているのでとてもわかりやすくて見やすく、MUSIC ON! TVだからこそのアーティストへの愛を感じる。見せ方がまたひとつ広がってきたのも感じた。
森委員:
- ・「DXTEEN ROOM」は、まさにK-POPアイドルの共同生活を映し出したリアリティ番組に倣ったフォーマットで、日本×韓国企画のアイドルグループらしいもの。このわちゃわちゃした楽しげなノリはファンコンテンツとして非常に強いだろうなと改めて思った。MAZZELはオーソドックスな構成の特番。OWVは街ロケもありのバラエティ番組的な作り。それぞれのグループの個性に合わせた演出・作り方が真摯に考えられているように感じた。全体的には日本のアイドルの見せ方も、韓国式に近づいていくのかなと思う。
◆アニソン・声優アーティストの特番&ライブ
池田委員:
- ・日本が誇るアニソンカルチャーのパワーを海外にもアピールできる取り組みだと感じる。特にゲーム企画とリンクしたライブを“良質なJ-POP”をど真ん中に据え置いた内容から、この独自性はやはりジャパニーズ文化の最強コンテンツだと再認識させられた。
木村委員:
- ・アニソン・声優アーティストの番組は、アーティストの人柄がとても良くわかるのでとても見やすい。また番組内のナレーションが、この分野に詳しくない人にも優しい解説になっている点もいいと思う。
高野委員:
- ・小野大輔はシンプルに歌手としての魅力を見せつけた映像のように思う。また、8月のシンデレラナインはバックボーンや背景などからストーリー設計を行い、そこからのライブ映像だと彼女たちの魅力は引き立つし、新規ファンの取り組みにも有効のように感じた。
田中委員:
- ・MUSIC ON! TVでは、特に強固なコンテンツの一つである声優アーティスト。今回はライブのバックヤードが見られるなど、ファンに向けたいいコンテンツになっていると感じた。一方、性質上それでいい面もあるが、特定のアーティストのファン以外が見られるほどエンタメ度が充実していない気がした。
福島委員:
- ・距離感の近さを感じられる構成と、見せ方への工夫を感じられた。ファン以外にも魅力が伝えることを考えられていると思う。舞台裏へと迫った構成も伝わりやすい説明によってわかりやすさを感じた。
宮島委員:
- ・小野大輔からハチナイまで、かゆいところに手が届く素晴らしいチョイスだと思った。この細やかなチョイスが増えると、声優やアニメ、ゲームは現状とにかくたくさんのイベントやライブが目白押しでどれに行くかの取捨選択だけで日々疲弊している中で、「MUSIC ON! TVに入っていれば行けなかったものも見られる!」「MUSIC ON! TVで見てすごく良かったから次は現地に行くと決めた!」という大事なコンテンツになる土台がより強固なものになると思う。
森委員:
- ・「ハチサマ Clutch! ROCK LIVE in 横浜」は、アニメ&ゲーム声優文化圏の相変わらずの爆発力を感じるもので非常にパワフルだった。日本発のオリジナルな文化の形として本当に貴重なものだと思う。ベテラン声優・小野大輔のライブも、舞台裏やリハーサルの様子まで見せてくれるのはファンにはありがたいはず。2番組とも、このジャンルにしっかり併走してきたMUSIC ON! TVの実績と実力の厚みを感じるものでとても良かった。
◆MUSIC ON! TVだから放送できる、K-POPアーティスト特番・ライブ
池田委員:
- ・さすが時代の最先端を行くK-POP、その世界観をふんだんに描いており、なぜこの分野が世界中の若者を虜にしているのかが窺い知れた。どのグループも非常にレベルが高く、映像的にもその部分を視聴者に感じさせられる出来栄えだと思う。
木村委員:
- ・ライブも、衣装も、ダンスも、映像もすべてが華やかで見ごたえのある作品だと思う。ファンにはたまらないものであろう寄りの映像もたくさんあってよかった。K-POPの曲の良さを改めて感じる特番でもあった。
高野委員:
- ・次から次へと登場する新星アーティストが多いK-POPを惜しげもなく、網羅的に紹介しているので新しい推しを見つけるにはマッチすると思う。K-POPの優位性は引き続き維持していって、新しいアーティストにスポットライトを当ててほしい。
田中委員:
- ・韓国制作のライブものはセットの作りからライブのスケールが段違いに大きいので、純粋に楽しんで見られる番組の一つ。たくさんのアーティストが集まるスペシャルは録画しておきたいようなコンテンツだと思った。
福島委員:
- ・MUSIC ON! TVだからこそできる、メディアとしていちばんの武器となる企画だ。日本語字幕など、痒い所に手が届く編集が良かった。
宮島委員:
- ・MUSIC ON! TVだから放送できる、K-POPアーティストの特番&ライブ。MUSIC ON! TVのK-POPへの情熱と取り組みは本当に素晴らしいと思うので、新しいK-POPアーティストとの出会いを作る架け橋として、とにかくここはコアに振り切る番組作りも恐れずに貫き通してくれることを期待している。
森委員:
- ・「SEOUL FESTA 2023 開幕公演」に関しては最高のひと言。アジアのグラミー賞を見ているような気分。客席を見てもグローバルで、K-POP並びにKカルチャーの現在地(現在値)を感じ取ることができた。ただ、対してAB6IXの日本公演の番組に関しては、単純にイベント番組を見た後だったので見劣りしてしまっただけかもしれないが、どこか「普通」に見えてしまった。
◆その他、MUSIC ON! TVの放送全般に関するご意見など
池田委員:
- ・ストリーミングの時代になり、かつての「新曲のライバルは新曲」から「新曲のライバルは旧曲も含まれる」マーケットに移行している。新しいものとは何か、もしかしたら古いものとの融合や組み合わせから生まれるのではないか、みたいな考え方も必要になってくると思う。かつて音楽マニアと呼ばれる人たちが音楽文化を生み出し継承して行ってくれたが、現在はその音楽マニア・音楽ファン自体が少なくなっている。音楽を「情報やデータ」と捉えている若い世代に向けて、音楽単独で考えるのではなく、いかに他の分野とドッキングさせられるかが重要なテーマになってくると感じる。そして、まずはそこを入り口にして、更に音楽の素晴らしさを伝えられる番組作りも期待している。
木村委員:
- ・多岐に渡るジャンルを取り上げてくれるチャンネルのイメージもあるので、思い切って、これまであまり触れてこなかったけれども実はコアなファンがいるようなジャンルを掘り下げて番組を作ってみてもいいように思う。
高野委員:
- ・このような番組編成だとライブパフォーマンスのプロの部分とトークといったオフの部分が見られるのは表層的認知から一歩踏み込んだ理解がアーティストにされるのでポジティブだと思う。見終わった後のゴールは何かを明文化できると競争優位性は飛躍的に高まると思う。
田中委員:
- ・既存のライブコンテンツや、各アーティストの特集番組などかゆいところに手が届く番組が多数編成されていて、とても安心感がある一方、マンネリ感を感じてしまう部分もあるので、個人的には、メジャーレーベルに属していないがバイラルヒットを飛ばしているアーティストなどを紹介していくようなコンテンツもあると嬉しい。
福島委員:
- ・推し活カルチャーの需要に応えられる刺さるコンテンツ作りが重要な時代だが、コアターゲットを意識したコンテンツ制作がMUSIC ON! TVならではの魅力となっていると感じた。今後、アニメ、K-POP以外の人気層を広げる施策にも期待をしたい。
宮島委員:
- ・ここにきて「生配信」ではなく「生中継」の強みとありがたさを改めて感じている中で、変わらずクオリティの高いライブを見せてくれることに感謝している。今回もひとつひとつは文句なくブラッシュアップされていて素晴らしかったので、どのジャンルも今あるコンテンツのクオリティは引き続き高いまま積み重ねつつ、そろそろ新しい切り口も見てみたい。まだまだ進化するワクワクする番組を楽しみにしている。
森委員:
- ・今回も全体に安定感の強いものだったが、逆に言うと「置きに行っている」印象も正直多く感じた。ダイナミックな活性化のためには、アニソンとK-POPに続く、第三の主軸を見つけることが必要か。もちろん簡単なことではないが、その辺にまつわる模索が見えるともっと良かったと思う。そんな中でひとつ思ったのは、DXTEENのような韓国式を参照した日本のアイドルやアーティストが出てきた時や、あるいはRIIZEのような日本人も含むK-POPグループの登場などに対し、なにか新しいアプローチが提案できれば、ひとつ突破口が開けるのかなと思う。
以上 |